序文
- 「社会学には進歩がない(成果を蓄積しない)」という意見をよく聞くが
- だから「18、19世紀の社会学者を、現代の社会学者と同列に扱うべきである」なんて言う奴も居る
- 本書はこの意見に反論する。
- 社会学は成果を蓄積してきているし、意味のある発展もしている
- 社会学者の間に立場の違いや対立が確かにある
- しかし対立点は無数にはない
- 現代の社会学には異なった伝統を持つ、複数の系譜が存在する
- 本書のタイトル「Four sociological traditions 社会学の4つの伝統」は、その複数の系譜を取り扱う
- 初版では「3つの伝統」だったんだが、
- 功利主義・合理的選択理論の伝統が、この版から追加された
- 本文でみるように「4つの伝統」は
- お互いに対立し合いながらも
- あちこちでクロスオーバー(相互乗り入れ)もする
本書が取り扱う「社会学の4つの伝統」
紛争理論Conflict Theoryの伝統(第1章)
- マルクス/エンゲルスやマックス・ウェーバーを起源(ルーツ)とする
- 両者の系譜に連なるものは、お互いに対立Conflictしてきたが、実は共通点も多い
- 紛争理論の特徴
- マクロ・レベル/歴史的観点で社会を見る
- 秩序よりも争い、矛盾、対立から物事を見る
デュルケム派の伝統(第3章)
- もちろんデュルケムをルーツにする
- (レジュメ作成者)普通はこんなカテゴリーは設けない。デュルケム・オタクのコリンズならでは
- (レジュメ作成者)しかしだからこそ、科学社会学(自体が社会学史から無視されがちなんだが)のブロアを取り上げるし、ゴッフマンに過剰なページを割いて、シンボリック相互作用論やエスノス(エスノメソドロジー)から切り分けて取り上げる。
- (レジュメ作成者)そしてジンメルを付録に押し込み、パーソンズ以下、機能構造主義を徹底的に無視する。 なんという偏向!だが、そこがいい。
ミクロ相互作用論の伝統(第4章)
- アメリカ産のシンボリック相互作用論とか、シュッツからガーフィンケルの流れ(エスノメソドロジー)など
- (レジュメ作成者)コリンズは哲学起源のこの伝統が余り好きではないらしい
功利主義・合理的選択理論の伝統(第2章)
- 個人の経済合理性を仮定する、メインストリームの経済学を起源のひとつとする伝統
- (レジュメ作成者)必ずしもすべてではないが、数理社会学では、モデルづくりの実用性から、合理性の仮定を受け入れ、この伝統の系譜に属するものが多い気がする。コールマンとか。
- (レジュメ作成者)単に、経済学から乗り入れて来る奴が多いせいかもしれない。
- 社会学本流(?)から見ると「敵」にあたるので、この系譜も社会学史であまりきちんと取り上げられてもらえない。
- (レジュメ作成者)そのため、この章およびこの本のReadingsで功利主義・合理的選択理論の章に含められたアンソロジーは結構、貴重である。